御劔 光の風3

「この国の民の命がここにある。彼らを握り潰す事など…絶対にあってはいけないんだ!」

この手の中にあるものを守る、それが幼い頃からの国旗への誓い。かつてあの特別な部屋でかわした在りし日の思い出がよみがえりハワードを突き動かした。

「サルス。」

「ハワード、お願いします!ここで俺が死ねば国は完全に標を亡くしてしまう!俺はこの国を守りたい!」

真っすぐな想いがハワードに向けられる。必死に想うが故か、潤った目が涙を流すまいと堪えているようにも見えた。

これだけに必死な姿はまるでさっきまでのカルサと対称的だ、そんな皮肉が浮かび目を伏せるがそれはハワードの中の意地悪な心が思わせた気の迷い。

カルサがどれだけ苦しんでいるか、戦ってきたかは全てを知らされずとも感じていたことだった。だがあえて、聞いてみたいことがある。

自分と同じ様に知らされない苦しみを味わってきたサルスだからこそ、心をさらけ出し合いたかった。

「カルサを身勝手だと思わないのか?」

静かに低く通る声が熱く昂っていたサルスとは対照的だ。そんなハワードの言葉にサルスは首を横に振って微笑んだ。

「身勝手なのは俺です。あとは任せろと、笑って送り出せない自分に腹が立つ。」

「…そんなことはない。」

「いえ、だって俺は知ってましたから。」

苦痛の表情を浮かべるサルスに、ハワードがすぐに否定したがサルスはまた首を横に振るだけだった。そして思いもしない言葉がサルスから告げられる。

「カルサがいつか戦いの中に身を投じる事、それが生まれ持った使命であることも知ってたんです。…その様子だとハワードも?」

ゆっくりと告げられることに初耳ではない反応だと悟ったサルスは苦笑いをした。それで我に返ったハワードは慌てて否定の言葉を出す。

「つい今しがたに…貴未を問い詰めて知った。吐き出させたと言った方が正しいか。」

「ははは。貴未はハワードには弱いから。」