御劔 光の風3

「気にならないと言ったら嘘になるけどな。でも瑛琳曰く俺の強みは心なんだそうだ。」

「心?」

千羅は頷き、左手の親指で自分の心臓あたりをトントンと叩く。心と言われて貴未の脳裏にいくつか思い浮かんだことがあった。それは千羅の言葉だ。

「よくは分からないが、俺は意志が強いらしい。それが人を前に向かせるんだと瑛琳が言っていた。」

「うん、分かる気がする。」

千羅から伝え聞く瑛琳の言葉に同意できた。さっきもそうだ。

千羅は人の魅力に気付いて引き出してくれる、くじけそうになれば前を向く力を与えてくれる。それがきっと千羅だけの特別な力でカルサにとっても必要な存在なのだ。

「千羅の言葉は力がある。多分、それはカルサが一番知ってるんだろうな。」

「そうか?有難みを感じてくれるといいんだけどな。」

「感じてても言わないね。あいつはそういう奴。」

「とんだ天邪鬼だ。」

二人の間に小さな笑い声が響いた。視線の先にはカルサがいる。新たな光玉がまた一つ造られていた。

「いくつ造るんだろ。」

「さあ。時間の許す限り…気が済むまでじゃないか?」

既にカルサの周りにはいくつか光玉が存在していた。自分の力を込めて造るという光玉だ、力の消費が少ない訳がない。

気が済むまで、その言葉はまさに的確に貴未を納得させた。

「これからは皇子カルサトルナスとして生きていかなければいけないんだ。嫌でもそうなる。」

それはこの国から完全に離れるという事を意味してた。カルサは今どんな想いで光玉を造っているのだろう。

「老大臣に話してきたんだろ?どうだった?」

「受け入れるのに必死って感じがした。」

歯切れが悪い言い回しに千羅が口の端で笑う。そうだろうなと、小さな声で同意した。