御劔 光の風3

優しい声が貴未の耳に入って誘われるように顔を上げた。千羅の眼差しはカルサを捕らえて離さない。また一つ、光玉が美しい輝きを放って宙に舞うのが見える。

どうしてだろうか、貴未には千羅が自分にも出来ないことを後ろめたく感じているように思えてたまらなかった。

「俺あんまり気にした事ないけど…千羅も十分強いだろ?」

窺う様に、心配するように言葉を綴る貴未の気持ちが伝わったのか千羅は微笑んだ。そして小さく首を横に振って答える。

「そう思うのは貴未が強いからだ。」

貴未の目は大きく開いた。強い、自分に対してそう言われたのは初めてのような気がする。

「いやいや、俺は強くないって。永の方が断然力が強かったし、今の力もカルサに補ってもらったもんだし。俺はある力を操作してるだけでいいとこ食いなだけ。」

照れ隠しをしている訳でもなく別に悲観している訳でもなく、手をひらひらさせながら笑って貴未はそう言った。

「何を言ってんだ。お前は世界の全ての入り口である界の扉と唯一リンク出来る男だぞ?」

「だからそれは俺の力じゃないって。」

さらに激しく手をひらひらと振って否定する。おだてるなよと言わんばかりに笑ってみせたが少し困っているようにも見えて千羅は苦々しく笑った。

「そんなドデカイ物をお使いこなしてるんだ。技術は何よりも強い力だぞ?零にも無限にもなる。」

「零にも無限にも?」

その言葉は貴未にとって新鮮なもので、目から鱗が落ちた様にただただ感心して言葉を噛みしめる。

「そんな考え方があるんだな。」

自然と笑みがこぼれた。お前の強みは感性、改めて言われた言葉を素直に受けとめられる。世界に唯一と言われる自分、その意味を理解しないといけないのか。

「もっとよく自分の価値を知った方がいい。現にお前は狙われてるんだ、少し自覚が足りてないぞ。」

自分自身を知る事が最大の力となり防衛とも攻撃ともなりえる。

貴未は自然な気持ちで千羅を見た。今日何回目かの千羅の横顔、彼の視線の先にはカルサがいる。いつものようにカルサを見守る姿は見慣れたものだが、さっきの言葉は普段見せない内に秘めた何かを垣間見た気がした。

「気にしてる?その…力のこと。」

言いにくそうに貴未が尋ねことに驚いた顔を見せたが、その言葉の意味に気付いて千羅は笑って答えた。