御劔 光の風3

本当に過保護だなと笑いカルサは少し満たされた顔で前を向いた。とりあえずは大丈夫、千羅は確信を得る。それだけで強くなれる気がした。

「死ぬつもりはないが、生きているかぎり抵抗しまくってやる。」

自分にも聞こえないほど小さな声で意気込んだ。

あの襲撃で痛い程感じた実力の差は生半可なものではない。あの時千羅に出来た事はカルサの盾になるだけ、直接対決して命の危うさを意識せずにはいられなくなった。

だったら、持てる力全てを使って抵抗してやろうじゃないか。何もしないよりは無限に可能性が生まれる、この世には奇蹟という希望がある。

ヴィアルアイの目的の一つに憶測ではあるが白に近い可能性があった。もしそれが本当なら、彼の中で渦巻いている怨恨の深さに恐怖で身震いがする。

太古からの因縁はそんなに浅いものではない。

世界を終わらす程の人の思いの強さに自分の無力さを感じた。長い長い時を経ても薄れることのない憎しみは、同じ時間をかけてカルサを苦しめる。遠回しな攻撃、真綿で首を絞めるような戦略に相手の真意が掴めなかった。でもそれが繋がる。

全てはカルサを邪竜にする為なのだとしたら。

精神的に狂わせ、守る事を忘れ目に入るもの全てを崩壊させる邪竜にもしなってしまったら。

それだけは絶対に避けなくてはいけない、全力で阻止するのだ。焦りと気持ちが強まる。同じ悲劇を繰り返す訳にはいかないのだ。

太古の因縁は必ず終わらせなくては。






「ハワード様、会議のお時間でございます。」

話を終わらせる合図が老大臣の部屋に響いた。女官の高い声によって貴未とハワードを包む空気も変わりつつある。

「全て、本当の話だな?」

ハワードの問いに貴未は頷いた。

「はい。真実です。」

ハワードの長いため息は心中の複雑さを物語っている。足元に落とした視線は決して視界を鮮やかにはしていない。頭の中でぐるぐると巡る貴未の話に困惑していた。