御劔 光の風3

そんな人が軽々しく国を出るなどと言う訳が無い、特にこんな状況なら尚更有り得ない事だった。

「そうか。」

それしか言えない悔しい気持ちが口元に表れる。これからに向けてカルサが背負っていくものの重さは欠片を感じるだけでも途方に暮れた。

一体いつからカルサはこの重みを背負っていたのだろうか。

「でも仲間がいます。俺を含め同じ特殊な力を、強い力を持つ仲間が何人かいます!」

貴未の強い語りかけにハワードは鬱ぎきってしまった気持ちを開けた。

「俺たちが必ずカルサを守ります。力を合わせれば何とかなる筈です!」

そう信じたい、そんな思いが表情に出ていた。強い意志を持ち立ち上がろうとする貴未にあてられそうになる、しかし力を無くしたハワードでも判断できることは沢山あった。

「本当に何とかなるのか?私は気休めなど聞きたくない。」

震える貴未の拳を見てハワードは冷静さを取り戻したのだ。その様子では明らかに希望などないように見える。有りもしない光にすがるような思いなど、そんな希望にすがって生きられるほど若くはない。

ハワードの厳しくも切ない目が貴未を揺さ振った。

「カルサが負ければ俺たちの未来は有りません。殺戮か支配か…この国はもう彼に知られているから。」

もう何と反応すればいいのか分からず、ハワードは静かに頷き言葉の続きを促した。

「でも、カルサが…俺たちが負ける事はないんですよ。」

「どういう事だ?」

明らかにおかしい言い回しが引っかかりハワードは疑問符をそのまま口にする。貴未の表情はずっと冴えなかったが、中でも今が一番悲痛の思いを秘めているように見えた。

そのことに嫌な予感がして仕方がない。

「倒すか、刺し違えるか。どちらかなんです。カルサの命があるかないか。」

「それは、つまり…。」

「彼を倒す方法は一つだけなんですよ。…カルサの命が、あいつの弱点なんです。」

声にするのを躊躇った貴未は目を伏せて苦しそうな顔を見せたのは一瞬、そして震える声で話した。