互いを求めて距離を限りなく零にする。幻の様な満たされる夜は明けて、ハワードが部屋を出るまで奇跡の時間はそこにあった。
誰にも語ることのない記憶は確かに二人の支えになったのだ。
それももう、十数年は前の話だ。
身体を失い魂だけとなったナルは一人で歩くハワードの姿を見つめて懐かしい記憶に包まれていた。
不幸な事故でデルクイヤとユーセシリアルを失った国は次の王へとカルサを押し上げたあの時から、運命の歯車は軋んだ音を鳴らしながら今の今まで動き続けていたのかもしれない。
あれを機にカルサは己の魂の記憶を取り戻し、これからの身の振る舞いをナルに宣言しに来た。押しつぶされそうな重圧、ここぞとばかりに私欲にまみれた毒を振りまかれたり命さえも狙われた。それでもどこか他人事のような
冷静さを保っていたのは自分のあり方を知っていたからだ。
どうやっても自分が王位を退くことも無ければ周りに潰される訳もないと、その自信は外に滲み出ていて威圧に変わった。
小さな王は決して雷神の力を使おうとはしない。
その身だけで主君は自分なのだと周りに認めさせていったのだ。それは恐ろしく冷たい瞳で国を変えていく。
太陽の様な王から生まれた王子は、氷の様に冷酷な人間だとカルサの評判はいいものとは言えなかった。祖母である人物の影響も少なからずある、しかしカルサが国を治めてからは特に悪い状態になることもなくこれまでと変わらない状態が続いていったことに国民は気が付いていた。
しかし城内では穏やかではなかったのだ。
カルサを支えるハーブとサルスはカルサと同じ様にまだ独り立ちするには若い。概ね支えとなったのはハワードを含める国の重鎮たちだった。その負担は大きい。
次第にハワードから笑みは消え、眉間にしわを寄せている表情が当たり前の様に変わってしまった。それは今でも続いている。
一人で歩くその時でさえも厳しい表情のままだとナルは穏やかに笑い、彼の名を呼んだ。
「ハワード。」
共にカルサを支えていくという役割を得てから少なからず対立することもあった。以前とは違う関係になったが真剣に国のことに向き合うことで絆の様な物が生まれたのだ。
幸せだった。
どれだけの困難があっても自分がここにいる意味があることに誇らしく思う。その居場所を作ってくれたのはデルクイヤ、そして育ててくれたのはハワードだ。
二人の為に、この国の為に役に立ちたいと思うのは自然なことだった。
誰にも語ることのない記憶は確かに二人の支えになったのだ。
それももう、十数年は前の話だ。
身体を失い魂だけとなったナルは一人で歩くハワードの姿を見つめて懐かしい記憶に包まれていた。
不幸な事故でデルクイヤとユーセシリアルを失った国は次の王へとカルサを押し上げたあの時から、運命の歯車は軋んだ音を鳴らしながら今の今まで動き続けていたのかもしれない。
あれを機にカルサは己の魂の記憶を取り戻し、これからの身の振る舞いをナルに宣言しに来た。押しつぶされそうな重圧、ここぞとばかりに私欲にまみれた毒を振りまかれたり命さえも狙われた。それでもどこか他人事のような
冷静さを保っていたのは自分のあり方を知っていたからだ。
どうやっても自分が王位を退くことも無ければ周りに潰される訳もないと、その自信は外に滲み出ていて威圧に変わった。
小さな王は決して雷神の力を使おうとはしない。
その身だけで主君は自分なのだと周りに認めさせていったのだ。それは恐ろしく冷たい瞳で国を変えていく。
太陽の様な王から生まれた王子は、氷の様に冷酷な人間だとカルサの評判はいいものとは言えなかった。祖母である人物の影響も少なからずある、しかしカルサが国を治めてからは特に悪い状態になることもなくこれまでと変わらない状態が続いていったことに国民は気が付いていた。
しかし城内では穏やかではなかったのだ。
カルサを支えるハーブとサルスはカルサと同じ様にまだ独り立ちするには若い。概ね支えとなったのはハワードを含める国の重鎮たちだった。その負担は大きい。
次第にハワードから笑みは消え、眉間にしわを寄せている表情が当たり前の様に変わってしまった。それは今でも続いている。
一人で歩くその時でさえも厳しい表情のままだとナルは穏やかに笑い、彼の名を呼んだ。
「ハワード。」
共にカルサを支えていくという役割を得てから少なからず対立することもあった。以前とは違う関係になったが真剣に国のことに向き合うことで絆の様な物が生まれたのだ。
幸せだった。
どれだけの困難があっても自分がここにいる意味があることに誇らしく思う。その居場所を作ってくれたのはデルクイヤ、そして育ててくれたのはハワードだ。
二人の為に、この国の為に役に立ちたいと思うのは自然なことだった。



