御劔 光の風3

デルクイヤの言葉に頭を下げるハワードはとても落ち着いていたがどこか幸せを噛みしめているように思えた。それが微笑ましくて思わずナルからも笑みが零れる。

「だからね、ナル。あの話をハワードにも伝えようと思って君にも来てもらった。」

あの話、そう言われて不思議そうにするハワード以外の面持ちが強張った。あれからナルは占いを重ね、さらに深い話をデルクイヤたちに伝えていたのだ。

「全て伝えてくれて構わない。私はハワードに隠し事をするつもりは無いよ。」

「…分かりました。」

まっすぐなデルクイヤの眼差しと言葉にナルも気持ちを固めた。

そしてナルはもう一度デルクイヤたちにも話すようにカルサについて語り始めたのだ。背負うものの大きさ、彼を待つ困難の数々、そしてこの国に訪れる災いの予感も包み隠さずにナルは口にした。

時間が経つにつれてハワードの表情が険しくなっていくのが分かる。そしてデルクイヤたちの表情も気を引き締めたものに変わっていった。何度見てもそれは居心地の悪いものだとナルは目を伏せたくなる。

「完全に理解することは難しいでしょうが、カルサ殿下の背負われしものの大きさについては心積りが出来ました。不詳ながら私も精一杯に殿下をお守りすべく日々努めてまいりたいと思います。」

動揺を外に見せることなく、ハワードはナルの話が終えるとデルクイヤとユーセシリアルの腕の中にいるカルサに向けて頭を下げた。

ハワードの心強い対応に二人から自然と笑みが零れる。

「宜しく頼む。」

「宜しくお願いします。」

二人からの言葉にハワードは頭を下げたまま了承の声を短く告げた。なんと頼もしい姿なのだろうか、身近に感じていたあの頃はやはり若さが先だっていたような気がするが、今のハワードはもう完全に落ち着いた大人の対応を身に付けている。

それでも垣間見える懐かしい笑顔に心が震わされるが、ナルはそれを見て見ぬふりで押し込めることにした。

もう、あの頃とは違うのだ。

「では私は失礼させていただきます。」

少しの切なさが身体中を支配しない内に退散しようとナルは早々に区切りをつけて部屋に戻ろうとした。しかしそんな彼女をデルクイヤが引き止める。

「少し待ってくれ、ナル。それにハワードも。二人に言っておきたいことがあるんだ。」

改めて告げられることに見当も付かず、それはハワードも同じだったようで二人は顔を見合わせた。