御劔 光の風3

「ようこそ、カルサ。貴方が一人で立ち向かえる時まで…私たちがしっかり守りますからね。」

その言葉にデルクイヤはようやく笑みを取り戻してユーセシリアルの肩を抱き寄せた。そして名づけられた我が子に触れて愛しき妻と顔を合わせる。

「お前が強くなれるよう、私たちが助ける。生まれてきてくれてありがとう、カルサ・トルナス。」

そうしてカルサ・トルナスと名付けられた王子の生誕祭は賑やかに執り行われた。

まだ祝いの余韻が残る数日後、ナルはデルクイヤに呼ばれてユーセシリアルの部屋に出向く。扉を開けてまず目に入ったのは手を挙げて笑みを浮かべながら招き入れるデルクイヤ、ユーセシリアルはまだベッドに寝たままの状態で同じ様に微笑んでいる。

一つ見慣れない大きな後ろ姿にお辞儀を終えた後のナルは様子を窺った。

「ナル、よく来てくれた。カルサの世話役が決まったので紹介しよう。」

不思議そうに眺めていたナルに声をかけたのを機に大きな背中はゆっくりと振り向く。次第に見えた顔にナルの目は大きく見開かれていった。

驚きのあまり声が出ないとはこの事だろう。

「私の世話役の一人でもあった、ハワードだ。」

実に十数年ぶりの再会だった。

「ハワードと申します。ナル様、どうぞお見知りおきを。」

軽く下げた頭は年齢を感じさせる白髪が混じっている。彼が年を重ねた分だけ自分もそうなっているのだろうと思った瞬間、ナルはすっかり平常心を失ってしまった。

「ナ、ナルと申します。こちらこそ宜しくお願い致します。」

勢いよく下げた頭に助けられナルは必死に自分を落ち着かせようとする。

国王の世話役だったという彼の経歴を聞いてさらに驚いた、あの頃彼はまだまだ新人の下級兵士だったからだ。あれから十数年、彼の実力に貴族の出であるということも手伝って出世をしていったのだろう。

ハワードもまたナルと同じ様に自身を高めていったのだ。

落ち着きを取り戻すために深呼吸をしてゆっくりと身体を起こした。そこにはあの頃と変わらない笑顔で微笑む彼が居てナルはまた心を乱されてしまう。

「前にも話したようにカルサにも他に何人か世話役をつけるつもりだ。ハワードにはその筆頭になってもらおうと思ってお願いしたんだよ。」

「身に余る光栄でございます。」