御劔 光の風3

「そう思いたいんだけどね。」

溜め息混じりに答える。その言葉は決して嘘ではなかった。

「レプリカ驚いたろ?結構な面子が揃ってるんだぜ?お互い早く蓋を開ければ良かったのかもな。」

貴未が声にした気持ちは誰しもが少しは考える事だった。確かに古の民、神官、カリオ人、そして古の国の皇子が今ここに揃っている。時を超え姿形を変えてまた力が集まろうとしていた。

「本当は蓋を開けないままが一番良かったのよ。まるで見えない糸に縛られているようだわ。」

「全て仕組まれた事だ。」

マチェリラの言葉に付け足すようにカルサが続ける。休む事無く生き続けた二人にとっては長く険しく苦しい日々の方が圧倒的に多いのだ。穏やかな気持ちなどなれる筈がない。

「二人似てるな。」

「本当ひねくれ具合がそっくり。」

呟いた貴未に乗ったのが圭だった。

「ちょっと!私はカルサトルナスみたいに腹黒くないわよ、一緒にしないで!」

「どういう意味だよ。」

からかわれて思うように操られるマチェリラを見て皆が笑った。カルサの中に一瞬重なって見えた映像はオフカルスの風景で、今みたいに皆で笑って過ごした懐かしい日々がゆらりと浮かんで見えた。

圭がいる、マチェリラがいる、ラファルがいる、瑛琳がいる、千羅がいる、貴未がいる。この懐かしく映る景色を愛しいとは思わない。余計に切なさをあおり、心を沈ませていった。足りないものが多いからだ。

他人が羨ましい訳ではないのだが、どうにも抜け出せない感情がいつも足にからまっている。カルサは一人話から抜け出してナルの方を見た。

カルサの懐にあるナルからの手紙、それ以降の彼女の最後の言葉を聞きたい。

「まだ、ここにいるだろう?」

例え命尽きても魂はまだここにいるはずだ。まだすぐ傍で見守っているはずだと思った。カルサの淡く消えてしまいそうな声は一同の耳に静かに響く。圭は足を進めカルサの横、ナルの傍へと向かった。

「カルサトルナス、始めるわ。」

「頼む。」

圭はナルの姿を目に焼き付けた。この人物がいかに強くここにいる者達に影響を与えたのか、それは自分を呼びにきたマチェリラの姿を見れば分かる。

マチェリラの原動力は貴未、そしてカルサ。その二人を支えてきたのがここにいるナル・ドゥイル。