御劔 光の風3

「レプリカ、サルスの横にいてやってくれないか?」

驚くレプリカに、気のせいでなければ二人は一緒にいる事が自然のように思えるとカルサは続けた。それは心の底から思う彼の正直な気持ちだ。

「殿下はお優しい方です。私のような者にも別け隔てなく接してくださる。高貴な血を持った、誇り高き御方です。」

何故か切ない表情に染まってしまった。彼女の言葉の中には複雑な思いが見え隠れしている。

釣り合わない。

彼女はそれを気にしているように見えた。

伏し目で視線を落とすその仕草は自信の無さと謙虚さが表れ、迂闊に言葉を発してはいけない気持ちに駆られた。身分の差は誰よりもレプリカが痛感していたのだ。

「確かに周囲の反対はあるだろうな。それを乗り越えられるかどうかだ。身分など二の次だぞ。」

カルサの言葉に顔を上げる。

真っすぐな言葉に思いが揺らぐがレプリカは目を閉じて気持ちを落ち着けようとした。ゆっくりと目を開けて口にしたのは表情と同じ言葉。

「自分の事になると臆病で、困りましたね。」

切なく微笑む姿はまだ気持ちが揺れている事を表していた。

「微力ながら、お力添えはさせていただくつもりです。私はここでリュナ様をお待ちしなければいけませんので。」

そう告げた彼女の表情は燐としたものだった。これ以上その話はしないという気持ちの表れだったのかもしれない。しかし彼女は寂しげな笑顔を見せる前、ふと思い詰めた表情を出した。

なんとなく違和感を覚えながらも彼女に答えなくてはいけない。そうか、とカルサが呟いた後はしばらく沈黙が続いた。それぞれが思いを巡らせ今までと、そしてこれからを考えている。

迫り来る終焉を目の前にして、全てを清算しなければいけない。

レプリカは視線をカルサの方に戻した。今までこの国を支えてきた王がいなくなる、頭の中ではなんとなく予想していた事でもいざ本当の事になると信じられない。きっとこの先は状況次第で突然姿を消してしまうこともあるのだろう。

カルサとこうして面と向かって会話をするのは、きっと最初で最後なのだ。

「以前は…リュナ様と二人で夜を語り明かした事もありました。」

ふいにリュナの言葉がよぎり、レプリカが口を開いた。