御劔 光の風3

「珍しい。」

感心の言葉が千羅から自然と漏れた。

「古の民がいると思うと、不思議と力を抜ける。俺も変な気持ちだ。」

はにかむようにカルサが笑う、それに反応したのはレプリカだった。

「私もです。皇子にお会いする事が出来て本当に嬉しかった。」

彼女の満面の笑みが全てを物語っている。不思議なもので同郷というだけで人はなぜか心温まる、それだけで伝わるものがあるのだ。

「そうか。」

どれだけぶつかり合っても底にある絆が揺らぐことはない。今ここにリュナが居てくれたらと誰もの心に浮かんだ。そう、彼女を取り戻さなければいけない。

「ヴィアルアイの許でリュナに会えるだろう。リュナを取り戻すことが出来たら、レプリカ。あいつを迎えに来てやって欲しい。」

思わず聞き返してしまいそうになる言葉が聞こえてきた。真っすぐレプリカの目を捕らえたまま、カルサの言葉はそれで終わってしまう。

「皇子は、どうされるおつもりですか?」

聞いてはいけなかったのかもしれない。しかし純粋な疑問が頭に浮かびその言葉をそのまま口にした。

「俺はもう、ここには戻らない。」

口の端で笑うカルサを見つめてレプリカの目が大きく開く。何か言葉にしようと開いた口は、震えながら力なく閉じていった。

目の前でカルサが微笑んでいる。

分かってしまった。彼が何を思い、どうしようとしているかを。全てを背負った時に覚悟を決めていたのだろう。どの道を通ってもカルサの中の一本の柱は決して形を変えはしない。

「怒られますよ?」

それがレプリカにとって唯一笑って言える台詞だったのかもしれない。

「いつもの事だ。」

小さい頃からずっと傍にいた。誰よりも分かっている。それでもカルサは全てを打ち明けられずにいた。不意にある記憶が過りカルサは気持ちが沈んでしまう。