御劔 光の風3

「ない。千羅、俺は中にいく。」

カルサは千羅の声に素早く反応し答えた。千羅は向かってくる敵を倒しながら背中でカルサの言葉に答える。

「分かった!ここは任せろ!」

兵士の手前、千羅が言葉遣いを変えていることにカルサは気付いていた。求めていた答えが返ってきたことに自然と笑みがこぼれる。

「頼む。」

「ああ!」

千羅の声を背中に受けてカルサは部屋へと繋がる扉を開けて中に入っていった。話の速さについていけなかった兵士は慌ててカルサの後を追っていく。

改めて千羅が交戦を始める中、背中を合わせるように近付いてきた人影に千羅は気が付いた。

「エプレット!無事だったのか!」

「はい。陛下は?」

「中に入った、民たちを落ち着かせるらしい!」

「そうですか。」

短い会話さえも与えてくれない状況は、カルサが加勢したことによって落ち着いたかと思わせた戦場に焦りをもたらす。また次が来たのだと立ち向かう姿勢はそのままに気持ちは疲労を重ねてしまった。

剣先を地面に刺して身体を支える者もいる。

「おい、暇なら戦え!死ぬか戦うかしかねえぞ!!」

千羅の言葉に開きっぱなしだった口を閉じて気を引き締めた。残り少ない体力は気力を持って補わなければいけないのだ、歯を食いしばって身体を起こしまた構えの姿勢を作る。

千羅の存在に気が付いた兵士が交戦しながらもエプレットの横に近付いてきて声をかけた。

「エプレットさん。あの方はどなたですか?前の襲撃も確かあの方は陛下を守るように戦っていました。」

兵士の言葉にエプレットは目を大きく開く。

よくよく見れば彼はあの時の目撃者の一人だったということに気が付き、思わず千羅の動きが止まってしまいそうになったのだ。彼もまた、真実を胸の内に閉じ込め葛藤を抱える仲間だと知る。