御劔 光の風3

「俺と千羅はヴィアルアイに会った。」

カルサの声に一瞬にして空気が張り詰めた。

マチェリラは思わず立ち上がりそうになる、前のめりになる身体はカルサの方を目指していた。まっすぐに向けられた視線、カルサは目で訴えるマチェリラに頷いてみせた。

「大丈夫だ、マチェリラの事は気付かれていない。」

マチェリラの身体は小さく震え、それに気付いた貴未は支えるように彼女の肩を抱いた。それでも震えは止まらない。

「リュナを捜しに行って一度リュナと合流したんだ。だがその前に、ヴィアルアイが現れた。」

千羅は俯き加減になり右手で左手をかばうように身を縮めた。瑛琳はそれに気付き、千羅を見ていた。

貴未の腕の中のマチェリラは自分の内側から沸き上がる恐怖を抑えようとしていた。どこを見ているか分からない瞳、それでもしっかりとカルサの言葉に耳を傾ける。小刻みに震えるマチェリラを腕に感じながら、貴未はカルサから目を離さなかった。

ヴィアルアイはカルサの目の前に現れたのだから。

「リュナの力の気配を感じて、向かおうとしていた時だった。」

嫌な感覚に襲われ本能的に足を止める。

頭の中の警戒音は反響しすぎて嘘か本当かが分からなくなっていた。いや、反応しすぎるほど近くにあったからと言った方が正しかったのだ。

鼓動が嫌味なほどに時間をかける、顔をあげて振り向いた先に居たのは。

「ヴィアルアイだった。」

誰の音もしない。

世界は再び闇に落ちていった。そしてまたゆっくりとカルサの口が開く。

静かに彼は現れ、そして物言わず虚ろともいえる表情を浮かべながら立ち尽くすカルサと二人を見ていた。何の感情も映さない表情にしびれが走る。

これが緊張からなのか感じる圧力からなのか、カルサは吐きそうな衝動にかられた。反射的に手で口を覆い、身を縮める。