「ナル?」
貴未はカルサに視線を戻した。カルサは重く頷き、その表情は暗い。貴未は思わず走りだし、ナルの所へ駆け寄った。マチェリラはその場から動かない。
「マチェリラ、知っていたのか?」
尋ねたカルサの声に答えずマチェリラは目を逸らすように俯き加減に伏せていた。彼女は何か知っている、そう感じさせるには十分な態度だ。
「ナル!」
貴未の声が聖堂に響く。いくら身体を揺らしても呼び叫んでもナルは以前のように微笑んではくれなかった。
「ナル!ナル!!」
声が次第に小さくなっていく、既に体温を無くしたナルの手を取って貴未は自分の頬に引き寄せた。
「貴未。ナルが自分の死を予感して残した手紙がここにある。」
背中にカルサの声を感じて貴未は涙を拭う。
勢い良く立ち上がり目の前に差し出された手紙を繊細な手付きで取った。カルサを見る、彼は頷いた。貴未はナルの方に視線を戻したがやはり彼女は動かない。
再び溢れそうになる涙を堪えて手紙を開いた。
目の前に広がるのは見慣れた綺麗なナルの字、しかし感傷に浸る間もなく訪れた驚きに思わずカルサに視線を向けた。待ち構えていたのか貴未の訴えるような視線を受け取ると目を細めて軽く頷く。
促されるように再び手紙へ視線を戻すと改めて最初から読み直した、そこに記されていたのは驚くべき内容だったのだ。
読み終えた貴未は何を言う訳でもなく、ただ脱力した。信じられない、そんな表情をして手紙を持つ手が次第に下がっていく。
「俺も…その手紙はさっき読んだばかりだ。」
顔を上げるとカルサも貴未と同じ様な顔をしていた。
「なんだ、これ。」
やりきれない思いを吐き出す。カルサは貴未から手紙を受け取り、いつの間にか傍に控えていた千羅にそのまま渡した。
貴未はカルサに視線を戻した。カルサは重く頷き、その表情は暗い。貴未は思わず走りだし、ナルの所へ駆け寄った。マチェリラはその場から動かない。
「マチェリラ、知っていたのか?」
尋ねたカルサの声に答えずマチェリラは目を逸らすように俯き加減に伏せていた。彼女は何か知っている、そう感じさせるには十分な態度だ。
「ナル!」
貴未の声が聖堂に響く。いくら身体を揺らしても呼び叫んでもナルは以前のように微笑んではくれなかった。
「ナル!ナル!!」
声が次第に小さくなっていく、既に体温を無くしたナルの手を取って貴未は自分の頬に引き寄せた。
「貴未。ナルが自分の死を予感して残した手紙がここにある。」
背中にカルサの声を感じて貴未は涙を拭う。
勢い良く立ち上がり目の前に差し出された手紙を繊細な手付きで取った。カルサを見る、彼は頷いた。貴未はナルの方に視線を戻したがやはり彼女は動かない。
再び溢れそうになる涙を堪えて手紙を開いた。
目の前に広がるのは見慣れた綺麗なナルの字、しかし感傷に浸る間もなく訪れた驚きに思わずカルサに視線を向けた。待ち構えていたのか貴未の訴えるような視線を受け取ると目を細めて軽く頷く。
促されるように再び手紙へ視線を戻すと改めて最初から読み直した、そこに記されていたのは驚くべき内容だったのだ。
読み終えた貴未は何を言う訳でもなく、ただ脱力した。信じられない、そんな表情をして手紙を持つ手が次第に下がっていく。
「俺も…その手紙はさっき読んだばかりだ。」
顔を上げるとカルサも貴未と同じ様な顔をしていた。
「なんだ、これ。」
やりきれない思いを吐き出す。カルサは貴未から手紙を受け取り、いつの間にか傍に控えていた千羅にそのまま渡した。



