御劔 光の風3

やがてゆっくりと目を開いて空を仰ぎながら深呼吸をする。

眼下に広がるのは見慣れた穏やかな景色ではなく紛れもない戦場、これが現実だった。

迷いのないリュナは右手を横に出しそれを中心にして風が巻き起こさせる。

「行くわよ、社。」

その瞬間、広場の入り口にまた風の壁が生まれ、巻き込まれた魔物は悲痛の叫び声をあげ切り裂かれた。

それを越えようとする魔物も同じように刻まれていく、これ以上ない強い拒絶は風の威力として現れ次々と侵入者たちを拒んでいった。

リュナの瞳に宿る力は強いままだ。

壁を作り続ける一方で次々と兵士と魔物を見分け、敵ばかりを自らの風で攻撃をしていく。目前の敵が倒れた兵士はそこで初めてリュナの風魔法に気が付き辺りを見回した。

そして高く、城の屋根の上から攻撃を仕掛けるリュナの姿を発見し声を上げる。

「リュナさん…風神様だ!!」

周りの動きを見ながら確実に魔物だけを目標にしていくリュナは彼の声は聞こえていない。

一人の兵士の声に導かれ兵士たちが彼女を見上げる。

今までは式典などで柔らかく優しい風しか見せたことのない彼女には戦う印象など誰も持ってはいなかった。噂で聞いていた一度あった出動の際に見せた風魔法、しかしほとんど剣技で戦ったとされていたが今は違う。

彼女は長い髪を躍らせながら高い、全体を見渡せるあの場所から風魔法で戦っている。

自分の間近でまたは少し距離があるところで生まれては切り裂いて消えていく風魔法に圧倒されていた。

彼女の顔つきはよく分からないがそれでも感じるものは今までとは違う。

雰囲気はカルサに似ているのだろうか、今のリュナはまさに戦いの神と呼ぶに相応しい空気をまとっていた。

広場の魔物を全て倒してリュナはその手を一時休める。