御劔 光の風3

レプリカの言葉を素直に受けとめる。伝わった、それを返してくれた。リュナにはそれが分かっていた。

「ご武運を、お祈り致します。」

そう言うと、レプリカは深々と頭を下げた。リュナは微笑み、彼女の肩に手をのせてレプリカの頭に軽く口付ける。

そしてゆっくりと距離をとった。

もしかしたらもう会えないかもしれない、そんな思いが強くなってリュナの気持ちを大きくする。

「ありがとう、リュナ。」

その瞬間、レプリカの世界に音はリュナの声しか存在しなかった。

すぐに身体を起こしたがそこにリュナの姿はない、思わず叫びそうになる名前を堪え胸元を強く握りしめた。

まるで金縛りにあったようにそこから動けない。

さっきまでの戦いの名残か粉塵が風に舞い視界を悪くさせ、それは自分の内側にも似ているとレプリカは口元に力を入れた。

「ウィルサ、新しい人。」

無意識にこぼれ落ちた言葉が風に消される。それが余計に切なさを深めレプリカの瞳を潤わせた。

傷の痛みが気持ちを前へと向かわせてくれるなんて皮肉なことだと目を細める、ここで終わるつもりなんて気持ちはないのだ。左手は右腕を支えレプリカはゆっくりと足を進め始めた。

「リュナ・ウィルサ、それが…貴方の名前です。」

囁くように呟いた言葉はリュナに向けたもの。

大切に宙に浮かせた届かない言葉の存在など知らないリュナは再び屋根に上がり、また戦場と化しつつある広場を見つめていた。

どこかしこからも闘志に満ちた声が聞こえてくる。その声は大気をも震わせる程の威力で思わずリュナは身を縮めた。

目を閉じるとより強くそれを感じられ、城内の状況が異常であることを物語っているのだ。