御劔 光の風3

リュナはレプリカに近寄り傷口に触れないように優しく抱きしめる。突然の出来事にレプリカは驚いたが、それを静かに受け入れた。

「ごめんなさい、我儘ばかり言って。でもレプリカを大切にしたいの。」

リュナの落ち着いた優しい声がレプリカの心に染みてくる。ここは戦場と化した城、それでも今二人を包む空気は温かかった。

「お気持ちは、十分に。」

レプリカの言葉を合図に二人の体は離れて視線を合わせる。

「この城にくる前、貴方と毎日のように戦う術を学んでいた。ずっと相手をしてくれたね。でもここへ来てから私は戦うことで陛下の役に立つという仕事が出来ていない。あの時も…肝心な時に何もできず怯えていただけだわ。」

辛く切ない想いが顔に出てしまう。レプリカは首を横に振り、それは間違いだと懸命に訴える事しか出来なかった。

あれは仕方がなかったでじゃないかと。

「今こそ、私は陛下の…この国の役に立ちたいの。」

そう言ったリュナの頭の中で繰り返されるのは昨夜カルサから貰った言葉たちだった。

自分の出生から導かれた運命はこの国を居場所としてはくれなかった、それでもついて来いと言ってくれたカルサの気持ちに答えたい。

この国で戦うことがこれで最後になるのなら、風神が戦った功績を残し彼の名を汚さぬように輝いていたいという欲があるのだ。

掴んできた自分の能力の使い方に今は大きな自信を持っている、自分ならやれると信じている。

そしてそこに負傷したレプリカを連れていくのは危険だと判断したのだ。

それは口にしなくてもレプリカには伝わったらしい。

「お身体の調子が良いからといって無茶をなさらないように。」

「ええ。」

「術を知っていても経験がある訳では有りません。うぬぼれてはいけませんよ?」

「分かった。」