御劔 光の風3

居心地の悪いライムの視線が妙に刺さる。まるで哀れんでいるかのような物悲しい表情だった。

「これも玲蘭華様の仕組んだ事なの?」

手にしていた剣を下げて見せた表情は酷く切ない。急に態度を変えた彼女に思わずリュナも見惚れてしまいそうになる。

戦場に似付かわしくない、やわらかな風が二人の間を通り過ぎた。

ライムは剣を水滴に戻すと全てを消し去ってしまい、丸腰の状態で再びリュナに視線を合わせる。

「寄り道はここまで。」

「えっ?」

リュナから自然と疑問符がこぼれた、しかしライムにはもう戦う気は明らかにない。

「じゃあね、風神。」

「ちょっと待って…ライム!!」

そう言い残すとライムは屋根から飛び降り姿を消した。下を覗き込んでもライムの姿はない、リュナの叫びが空しく響いただけだ。

「リュナ様!」

少しするとレプリカが少し足を引きずりながら屋根の上を駆けてきた。それを見たリュナは屈めていた身体を跳ねるように起こして彼女に駆け寄る。

「レプリカ!無茶をしたら駄目よ!」

「それよりも、あの子は!?」

レプリカの気持ちに折れ、リュナはレプリカの問い掛けに首を横に振って答えた。

逃げられた、それはすぐに伝わり行き様のない感情が置き去りにされる。

「とにかく陛下の所へ急ぎましょう。」

「はい。」

リュナの言葉を合図にレプリカは回れ右をして進み始めた。続こうとするリュナは後ろ髪をひかれるように足を止め、ライムが消えた方向を横目で見る。