御劔 光の風３

「どうぞ？」

「社！」

挑発するようなライムの声がかかると同時にリュナは社の名を叫び、たちまち力と力のぶつかり合いによる爆発を生んだ。

強い風圧がレプリカを煽る。

相変わらず止まらない出血に貧血をおこし始めていた身体は思う様に動いてくれなかった。気付いた時には二人の姿はなく、上の方で戦っている音が降ってきている。

「リュナ様。」

心配な声がレプリカからもれる。

レプリカはおもむろに自分の衣服を裂いて傷口を止血し始めた。渾身の力できつく縛る、安定感の無い身体を抱えて立ち上がり気合を入れる為に深く呼吸をした。

これぐらいで足止めをくらっていてはいけない、意を決してレプリカはリュナとライムのいる上へと向かった。

屋根に上がったリュナとライムは誰にも邪魔されず激しい戦いを繰り広げている。

いくつも襲いくるかまいたちをかわし、ライムは剣を手に取りリュナへの距離を縮めていく。

あと少しで間合いに入ろう瞬間、下から風の刄がライムを襲った。それをかわして後方に飛ぶ。

攻撃は常にリュナの方が強く押しているように思えたが、二人にとって一時の休戦が訪れた。

「驚いた。意外に戦い慣れてるのね。」

ライムの言葉にリュナは何も答えない。黙ったまま視線は常にライムを捕らえ放さなかった。

気になることがあっても今は何も考えない、目の前の敵に集中するその姿勢は威圧に相当する。

まっすぐに向けられた視線を見れば見る程ライムの中で固まっていく考えがあった。時間が経つにつれ強くなるその思いから次第に彼女は少しの笑みさえも消してしまう。

「やっぱり似てる。」

ライムの呟きは距離を保っているリュナにも届いた。