「頼む。」
僅かに頭を下げて千羅はエプレットの返事を待った。
自分の思う速度を超えて千羅から告げられた数々、まだそれら全てを消化できたわけでもないのにもう決断を迫られるのは正直に困惑した。
しかし。
「分かりました。」
エプレットの手が鞄の布越しに光玉に触れる。
「陛下を宜しくお願いします。」
敬礼と共に貰えた気持ちを千羅は素直に感謝した。
「ありがとう。」
口にすることで目頭が熱くなったが今は構っていられない、軽く頭を下げるとエプレットに背を向けて千羅は屋根の上に降り立った。
「名前は伺わない方が?」
躊躇われたが後悔しないようにとエプレットは踏み込む覚悟をする。
姿を現した時からおそらく名を名乗るつもりがないことは分かっていた、名乗っても偽名を使うだろうと。
「千羅、と。」
背中で答えた千羅に不思議と疑惑の念を抱くことはなかった。
本当の名前であろうと無条件で信じることが出来たのだ。
歩みを進めていく、もう千羅が振り向く気配はない。
エプレットは二人の姿を目に焼き付けると新たな自分の役割を目指してその場から離れることにした。
「皇子。」
エプレットが去っていく気配を感じながら千羅はカルサに声をかける。
僅かに頭を下げて千羅はエプレットの返事を待った。
自分の思う速度を超えて千羅から告げられた数々、まだそれら全てを消化できたわけでもないのにもう決断を迫られるのは正直に困惑した。
しかし。
「分かりました。」
エプレットの手が鞄の布越しに光玉に触れる。
「陛下を宜しくお願いします。」
敬礼と共に貰えた気持ちを千羅は素直に感謝した。
「ありがとう。」
口にすることで目頭が熱くなったが今は構っていられない、軽く頭を下げるとエプレットに背を向けて千羅は屋根の上に降り立った。
「名前は伺わない方が?」
躊躇われたが後悔しないようにとエプレットは踏み込む覚悟をする。
姿を現した時からおそらく名を名乗るつもりがないことは分かっていた、名乗っても偽名を使うだろうと。
「千羅、と。」
背中で答えた千羅に不思議と疑惑の念を抱くことはなかった。
本当の名前であろうと無条件で信じることが出来たのだ。
歩みを進めていく、もう千羅が振り向く気配はない。
エプレットは二人の姿を目に焼き付けると新たな自分の役割を目指してその場から離れることにした。
「皇子。」
エプレットが去っていく気配を感じながら千羅はカルサに声をかける。



