「ここにいて城内の様子を探りながら待っててやってくれ。俺が行ってくるから。」
服装を見るに城の兵士ではない、怪訝な表情に歪ませたエプレットは次第に一つの欠片を拾い上げた。
それはあの時の記憶だ。
「…あの時の…?」
突然現れた侵入者との闘いの中で真っ先に胸を貫かれたカルサに駆け寄り姿を消した人物、エプレットは瑛琳が作った結界の中でその様子をずっと見ていたのだ。
ほとんどが大きな傷を負った背中しか見えない位置だったが、時折見えた横顔に釘付けだったのを覚えている。
そして否定も何もしない千羅の様子からやはりあの時の青年と同一人物なのだということが分かった。
「貴方が陛下の仲間…ですか?」
「誰がそんなことを?」
「ナータックさんです。」
全てに追い込まれ全く余裕がなかったときは思い出せる記憶も少なかったが、今朝サルスと話して曇った感情が少し晴れた時から思い出される記憶は後を断たなかった。
たった一度だけ言われたこともあるし詳しく話された訳でも無い。
それでもナータックは何か鍵を残すようにポツリポツリと話してくれていたのだと気付いてからは、これもだったのかと繋がることが増えた。
おかげで頭の中は今でも忙しいが思い出されるたびにカルサへの思いが変わっていく。
雪解けの様に尖っていた感情が削れていったのだ。
「そっか、ナータックが。…そうだな、俺はあいつの仲間だ。」
親近感のわく言葉でカルサを表した千羅にエプレットは目を細めた。
「でも、君もそうなってくれたんだろ?エプレット殿。」
名を呼ばれて背筋が伸びる、まるでカルサから命を告げられたかのような不思議な感覚にエプレットは何故か頬を染めた。
服装を見るに城の兵士ではない、怪訝な表情に歪ませたエプレットは次第に一つの欠片を拾い上げた。
それはあの時の記憶だ。
「…あの時の…?」
突然現れた侵入者との闘いの中で真っ先に胸を貫かれたカルサに駆け寄り姿を消した人物、エプレットは瑛琳が作った結界の中でその様子をずっと見ていたのだ。
ほとんどが大きな傷を負った背中しか見えない位置だったが、時折見えた横顔に釘付けだったのを覚えている。
そして否定も何もしない千羅の様子からやはりあの時の青年と同一人物なのだということが分かった。
「貴方が陛下の仲間…ですか?」
「誰がそんなことを?」
「ナータックさんです。」
全てに追い込まれ全く余裕がなかったときは思い出せる記憶も少なかったが、今朝サルスと話して曇った感情が少し晴れた時から思い出される記憶は後を断たなかった。
たった一度だけ言われたこともあるし詳しく話された訳でも無い。
それでもナータックは何か鍵を残すようにポツリポツリと話してくれていたのだと気付いてからは、これもだったのかと繋がることが増えた。
おかげで頭の中は今でも忙しいが思い出されるたびにカルサへの思いが変わっていく。
雪解けの様に尖っていた感情が削れていったのだ。
「そっか、ナータックが。…そうだな、俺はあいつの仲間だ。」
親近感のわく言葉でカルサを表した千羅にエプレットは目を細めた。
「でも、君もそうなってくれたんだろ?エプレット殿。」
名を呼ばれて背筋が伸びる、まるでカルサから命を告げられたかのような不思議な感覚にエプレットは何故か頬を染めた。



