御劔 光の風3

「あの子たちって?」

「風使いと、その女官よ。」

それはつまりリュナとレプリカのことを指していた。

リュナが魔性の血を持っていると知ってからは特にマチェリラは嫌悪を全面に出してリュナとの距離を作っている。

吐き捨てるように出された言葉もその感情を含んでいたが今はそれよりも気になることが増えた。

「風使いの様子がおかしいって…女官がずっと寝室についてた。そこに居た瑛琳から聞いたのよ。風使いを心配そうに見つめる女官から環明の名前が出たって。まるですがるような声だったって。」

瑛琳から聞かされた状況を思い出しながらマチェリラが貴未に伝えていく。

興味を持ってしまったが為に視線を少しずらして初めてその目にリュナとレプリカを映した時の衝撃だった。

外は既に魔物の襲撃によって混乱が始まっている。

カルサも戻りようやく本腰を入れて対策に打ち込んでいこうというときなのに、何故知ってしまったのだろうか。

「カルサはそんな事一言も…。」

「あの子に古の民かどうかなんて見抜けない。」

貴未の言葉を遮りマチェリラは強くゆっくりと伝えた。

ついさっき、界の扉の間でその話をしたばかりだ。

カルサに古の民かどうか見抜ける力はないとマチェリラは断言していた、そして自分ならそれが出来ると。

「カルサは知ってるのか?」

「…おそらく知らないでしょうね。瑛琳にも伝えずに来ちゃったから…。それに瑛琳ももうそこから離れて違う方を対応しているわ。」

マチェリラは切ない表情で首を横に振る、その様子を見て貴未は動揺していた頭を凄い速さで整理していった。