御劔 光の風3

「環明って人は太古の風の力を操る神官だろ?風神の基になってる人なら別にリュナの衛兵であるレプリカが知ってても不思議じゃないけどさ。」

貴未の言葉にマチェリラはゆっくりと首を横に振った。

「瑛琳が言うには御劔といえど等しく太古の存在は知らされていないらしいわ。」

「どういうこと?」

「つまり誰かから聞かされないと知り得ないということよ。」

「カルサが言ったんじゃないの?」

「瑛琳が言うには環明という名を明らかにしたことは無いって。」

知らされていないなら名前やどういう人物かなんて分かるはずがない。

リュナが得られる情報としては書物となっている神話の内容くらいなものだった筈だとマチェリラは続けた。

「俺には判断できないな…。」

貴未はその話を聞いてもどうしていいのか分からない様子だった、勿論マチェリラは貴未がそう思うことも想定内だ。

それでも吐き出したかった。

知っていた方がいいかもしれないという思いも少なからずあったがそれは口にしなくてもいいことだ。

それに言いたかったのはそこじゃない。

「なぜ、彼女がそれを知っているか。私にはそれが分かる気がする。」

マチェリラの言葉は衝撃的だった。貴未は反射的に身体をマチェリラに近付けてその理由を問う。

「一目見て分かった。貴未、あの子たちは古の民よ。」

耳を疑った。

貴未はマチェリラから目を逸らさずに考えだけを頭の中で張り巡らせ自分の中で疑問符と戦う。