御劔 光の風3

特別であるが故の苦しみはマチェリラも嫌というほど体験をしてきた。

好奇の目、無理矢理に作られる人物像、それらは自分勝手に巻き込んだ周りの仕業で本人の意思はどこにも含まれてはいない。

自分が一般的だというつもりはない。何か自分にしかないものがあるのだと十分に自覚している、しかしそれは生きとし生ける物すべてに言える事ではないのかとさえ思うときも少なくはなかった。

貴方だって特別な存在だと、言ったところで嫌味に捉えられるか中身のないものに聞こえるところもいい加減うんざりだ。

そして口を閉ざす。心も閉ざす。

今ならカルサの気持ちも少しは分かる、背負ってきたものの重さも理不尽な歯車の導に対する反発心もよく分かるのだ。

しかし押し殺すような態度を見せるカルサの強さだけは分からなかった。

マチェリラの知る昔のカルサは理不尽なことがあると許すことも諦めることもしない、強気な人物だった。

それは見ていて眩しいほどに輝いていて、未来の神官に自然と周りが期待を寄せるほどだった。

将来が楽しみだと誰もが口を揃えて言うのも今となっては懐かしい記憶になるが、既に見る影もない。

強さはあるものの触れただけで壊れてしまいそうな軟さも感じられ、カルサも今では不安定な存在になっていた。

暗いものを抱えて背負って、あの頃の輝きとはまた別の存在感は威圧を含んで特別なものとなっている。

それはカルサの話を聞いて理解は出来たのだが、また元の彼の様に戻って欲しいと思ってしまうのは身勝手なのだろうか。

考え事をしていると自然とカルサの方に視線を合わせていた。

彼の本質的なところはやはりまだ分からない。

もしかすると本人もよく分かっていないのかもしれないと感じるがどうなのだろうか。