御劔 光の風3

サルスの突き刺さるような言葉にエプレットはまた言葉を失ってしまった。

「…自分から口にするのは躊躇われるが、君はあの時のことを知っている。私が作り上げた真実の裏にある物を君は知っている、それが私たちには脅威だ。故に君との距離は少しとっていた部分がある…それは私の間違いだったと認識しているよ。」

今でも鮮明に思い出されるあの瞬間。

サルスの姿は煙に巻かれカルサへと変えたあの風景は恐怖以外の何ものでもなかった。

抱える物の大きさ、その存在の遠さ、住む世界が違うと単純な言葉が妙に胸に馴染んだ記憶は嫌でも深く刻まれた。

「カルサの負担は誰よりも何よりも大きく命を削るものだ。それを軽んじる発言は陛下に近しい者から出ることを許さない。私もそれを許すわけにはいかない。」

近しい者、それはつまり自分を指していると知りサルスの怒りが向けられていると心が締め付けられる。

エプレットはたまらず視線を逸らして俯くがサルスはそれを許さなかった。

「エプレット。」

名前を呼ばれたことで身体が反射的にサルスを求める。

「私は陛下の全てを知っている訳ではない。しかし誰が何と言おうと私は陛下を疑わない。時に目指す道が背を向けることになったとしてもそれは互いに変わらないと信じている。それが私たちだ。」

そう言うとサルスは初めて視線を手元に動かした。

掴んだままの本は机の上に置かれ、そして視線はそのままカルサの執務席へと辿っていく。

ここで過ごしてきた時間は一体どれほどだろうか。

生きてきた時間の半数以上をここで過ごし、またほぼ全てと言っていいほどの時間をカルサと共有してきた。