御劔 光の風3

いや、悲しみよりも強く貴未を支配しているのは言い様のない深い喪失感だった。

今はもう思い出そうとしても父の顔を思い出せない、過去の記憶でさえも支配する目の前の墓石に近寄り貴未は大声で泣き叫んだ。

恥ずかしさなんてない、ただ二度と手をとる事が出来ない父に向かって泣いた。

まだ怖くて墓石に触れることが出来ない。

初めて見せる貴未の泣き姿に日向も泣きそうになった。

自分の持つ記憶の中で、これほどまで悲しそうに泣く姿を見たことがない。

悲痛の叫び。

少なくとも貴未は大切な人を二人も亡くしているのだ。

しかもこの数時間で立て続けに亡くしている。

彼の心中を思えば今の貴未の声は堪らなく辛く耳に響いた。

首から下げている〈永〉の存在も今は忘れているだろう、マチェリラは何も言わずにそこにいた。

貴未はただ泣いていた。

長も日向も貴未に触れる事ができず、ただ彼の傍にいることしかできなかった。

それが彼らに出来ることの一番だった。