先輩と私。



「えーと……」


先輩が戸惑ったようにあたしを見る。


「ウソ……だよな?」

「本当です」


こんな状況でウソなんかつけません……。


先輩は唖然とした様子であたしを見つめる。


「顧問の先生にはもう言ったんですけど、やっぱりキャプテンには自分の口から言おうと思って……。
……今月いっぱいでやめる予定です。
……えっと……
……今までお世話になりました。
ありがとうございました」


頭を下げる。


……先輩は何も言わない。


あたしは頭を下げたまま目線だけ上に上げて先輩の表情を見ると、先輩はただじっとあたしを見つめていた。


「ヒロ先輩……?」

「……何で?」

「え………」

「突然やめるって言うからには何か理由があるんだろ」

「それは………」