ヒロ先輩は部誌を見ている最中だったみたいで、イスに座って膝の上に部誌のノートを載せていた。
「それ……」
「あぁ、これな。
梨乃が今まで書いてくれた分を読み返してたんだ」
「え……」
懐かしいよなーと言いながら先輩は随分前のページを見ている。
……何でこのタイミングで――
あたしはそんなことを思いながら、ただじっとヒロ先輩を見つめた。
一つ上のヒロ先輩はカッコよくて優しくて面倒見がよくて、それでいてバスケも上手い……あたし達後輩からしたらそれはもう憧れの先輩で。
……でもあたしは先輩としてだけではなく……淡い想いをヒロ先輩に対して抱いている。
その想いを告げようだなんて思ったこともないし、これからもしようなんて思わない。
でも………
「ん?どうした?」
しばらくじっと見つめていると、そんなあたしの視線に気がついたのかヒロ先輩がこちらを見る。
「……あの、ちょっと話したいことがありまして……」
「話?」
ヒロ先輩は部誌を閉じると自分の横に置き、まっすぐあたしの方を見た。