「……だから、やめるなって言ってんだろ。
本当……梨乃がいなくなったら困るんだよ」
「個人的に、ですか?」
「おまっ………!!」
先輩は顔を真っ赤にして焦る。
そんな先輩の姿が珍しくて、でも何だか嬉しくて……あたしは思わず笑ってしまう。
「今笑っただろ」
「笑ってません」
「いーや、絶対笑った」
「ちょっ……先輩……?」
先輩はまたあたしに詰め寄ると、もう一度ロッカーに手をつき……今度はさっきよりも顔を近づけてきた。
……しかも今度はあたしの顔を挟むように両手をつき……まるで獲物を逃がさないようにするかのようにじっとあたしを見つめる。
「あ、あの……」
「……俺、まだ返事聞いてないんだけど」
先輩が少し余裕そうに……でもどこか不安気にあたしを見つめる。
返事って……
……そんなの決まってる。
だって、あたしも……あたしだって、ずっと……

