「えっーと、話ってなにかな?」


今度はなるべく優しい口調で聞いてみた。


「ここじゃちょっとあれなんで、場所変えてもいいですか?」


うん、分かったと言ってあたしたちは場所を変えた。


まあ、場所を変えたって言っても学校内なんだけどね。

でも一応、人の来なさそうな場所ですね。


そんなことを思ってたら、

「突然呼び止めたりしてすみません」

と声をかけられた。


「いや、気にしなくていいよ。

 で、話って?」

あたしがそう聞くと、男の子は少しためらったが口を開いた。


「俺、一年の稲葉 隼人(いなば はやと)って言います。

 いきなりですみませんが俺、澪先輩が好きです」


ほんとにいきなりだなと思いながらあたしは、

「ごめんなさい。あたし恋愛に興味ないんで」


とお馴染みの言葉を言った。