「凛花、お母さんは仕事でもうしばらく家に戻ってこれないから。」


 お母さんは、コートをそさくさと着ながら靴をはくと、その言葉だけを置いて家を出ていった。


 少し暖かくなってきた3月の下旬。


 僕のお母さんは、あまり家に帰ってこない。



 僕のお母さんは有名な政治家、



 だから、いつも家にいるのは僕とねぇちゃんだけ。