挨拶を交わすだけ。
ただそれだけのことに
全力疾走した後のような
心臓の動きに思わず
顔が赤くなる。
気づかれないように
小走りする私を呼び止め
最後の一言。
『今日、日直だからな。』
掠れる声に気付かず小さく
『はい。』
その一言を言うのが精一杯
そんな私に気付かないその人は
私のクラスの担任。教科は数学。
『先生』と呼ばれるその人を
好きになったのはいつからだろう。