遮るように口を開けば、ぴきっと彼女と空気が凍ったのに気付いた。
むしろ、クラス中が凍ったような気がする。
でも、あたしはここまで言って引きさがる気はさらさらない。
「別にクラスのルールっていうならバッヂくらい付けるけどさ、
せっかくのクラスメートなのに上とか下とか分けてなんか楽しいの?誰が得するの?」
あたし、謝る気も直す気もないな。
彼女の真似をして腕を組んでみると、呆気に取られていた彼女の顔がゆっくりと朱に染まっていった。
「っ、忠告を無視したあなたが悪いのよ!
そのバッヂの意味、このクラスで痛い目にあってから後悔するといいわ!
覚えてなさい!!」
覚えてなさいって。そんなマンガみたいなセリフ初めて生で聞いたわ。
なんだか面白くって、くつくつと喉で笑った。
「お見事です、鈴様」
「そんなこと言ったら沙希まで痛い目見るよー?」
「私は大丈夫ですよ」
いつの間にあたしの背後に戻ってきたのか、沙希は楽しそうに口角を上げてあたしを見た。
多分、あたしも楽しんでる顔してる。
けれど、「あーあ」なんてまるで困ったような声を出してⅢのバッヂを手に取った。

