「エンブレム」
「これが何か?」
「“神谷学園”の名において、“神谷”の息が掛かった人はエンブレムの装飾が異なるの」
そう言われてあたしは自分の胸と彼女の胸を見比べた。
(どうでもいいけどなんてナイスバディなんだ、この子)
・・・確かに、ハイレベルな間違い探しというくらいのレベルだけどわずかにマークの一部が違う。
それに、彼女のワッペン、じゃなかったエンブレム?と、後ろにいる二人のエンブレムは同じだった。
なるほど、あたしが“神谷”の関係者だと気付いたからみんなあんなチェックするような目をしていたのか。納得。
あたしは、校長先生に言われた通り「遠くの親戚で」とか細い声で言い訳した。
それを「ふーん」と聞いたのち、
「まぁいいわ、家柄なんてクラスでは関係ないから」
と彼女は訝しげな顔から一変、最初と同じ強気な顔に戻る。
そして「本題よ」と、彼女はあたしに『Ⅲ』をかたどったガラスのようなバッヂをあたしに渡してきたからだ。
え、これを渡すためにきたの?これ何?
とバッヂを見つめた後、彼女の顔に視線を移す。
スワロフスキーよ、と彼女は言った。え、別にそれはどうでもいい。(相変わらず使う素材が高いな、この学校の人間は!)

