一連の会話を唖然とした様子で聞いていた更科先生は、「あー」とポリポリと頬を掻いてからあたしの席を指示した。
教室の一番廊下側、一番後ろ。
そしてあたしが席に着いた後、前の学校と同じような普通の朝礼を終えると、そそくさと更科先生は教室を出ていったのだった。
その様子を見ながら、あたしはため息をついて一時間目の教科書とノートを準備し始める。
(一時間目は数学だっけ)
あぁ、これでこの学校にいる数ヶ月はおひとり様確定なんだろうなぁ・・・由美が恋しい。
すでに懐かしささえ覚える親友に想いを馳せていると、不意に手元が陰って顔を上げた。
「あ、さっきの」
あたしの口はバカ正直に動く。
はっと口を手で押さえても遅く、さっきの美人なお嬢様は至極不機嫌そうな顔で腕を組んだまま座っているあたしを見下した。
「貴方、メグミ様になんて口を利くのよ!」
「そうよ、さっきの態度も謝りなさいよ!」
けれど口を開いたのは彼女じゃなくて、付き従えているように後ろにいる女の子。
同じ制服に身を包んでいるところを見ると、メイドさんというわけじゃないらしい。
この“メグミ様”とやらの親衛隊なのだろうか。
彼女は、艶のある髪の毛を後ろに払うと(それだけでめっちゃいい匂いがした)、
「しょうがないから教えてあげるわ」と偉そうにふんぞり返った。

