はしゃぎながら抱きついたあたしに、由美は冷ややかに恐ろしいことを言ってのける。
あながち嘘でもないことを経験上知っているので、冷や汗が背中を流れたことに気付いてすぐに回れ右をした。
頭の中で警報がカンカン鳴っている。
「由美!ホントありがとうね!!」
床に置いておいた通学カバンを背負って、教室を出る間際に由美に叫ぶ。
彼女は「はいはい」と慣れたようにふっと口元を緩めて、それから筆をいっぱい持った手を振ってくれた。
あたしもそれに手を振り返して、最後に美術室全体に「お疲れ様でーす!」と叫ぶ。
後輩たちが「お疲れさまです」と、先輩たちが「転ばないようにね」と返事を返してくれて、
(美術部はとっても仲がいいの!)
あたしはブイサインをして今度こそ美術室を飛び出した。

