Sの法則-平凡姫と俺様SP-




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そんなこんなで「いってらっしゃい」という言葉を背に校長室を後にしたあたしたちは、またレッドカーペットを歩いて更科先生の後ろを歩いていた。

外観を見たときから思っていたけど、なんて迷路みたいな学校なんだろう。

地図とかないのかなぁ・・・いや、地図があっても迷いそうだけどね、むしろ。

せめて入口から教室までの道筋とトイレの場所くらい覚えておかないと。

勉強に校則に立場に道に秘密に、前途多難すぎる。

友人関係くらい円滑ですように、とあたしはまだ見ぬクラスを想ってため息をついた。



「鈴様にしては及第点でしたね」



そんなあたしの素振りに気付いているのかいないのか、沙希の言葉に顔を上げた。

正確に言うと、沙希があたしの斜め後ろを歩いているせいで振り返る形にはなってるけど。



「対応は満点とは言えませんが、余計なことを言わなかったことと何回か意見を我慢した点に関して、高評価と言えます」



少しは特訓の成果が出ましたね、と沙希は言った。