「話はそれぐらいかしらね。校舎案内や細かい規則は、学校生活をしながらお友達や先生に聞いて。
貴方なら、あのクラスでもきっとうまくやっていけるわ」
「はい」
今度はうまく返事が出来た、と内心安堵で胸を撫で下ろす。
あたしの返事に同じように頷くと、校長先生は「じゃぁ」と言葉を切った。
「そろそろ朝礼の時間ね。鈴ちゃんもクラスに行きましょうか」
先生の言葉を合図にしたように、「失礼します」と校長室に一人の男の人が入ってくる。
見た目は沙希と同じかちょっと上。
あまりに美系に囲まれたせいで特別目立ちはしないけど、多分前のあたしの学校にいたら大人気なんだろうなぁと思うくらいさわやかな雰囲気だ。
「真城さんだね」と彼はあたしの顔を見て、太陽みたいに笑った。
「君のクラス、2年A組の担任の更科 弘人(さらしな ひろと)です」
「あ、真城鈴です!よろしくお願いします!」
慌てて立ちあがって会釈すると、先生は目を丸くしてあたしを見た。

