「でも、すでにずいぶんと長い間奇襲にあってないんですけど・・・」
SPさんの数は置いておいて、あたしはこの学校の敷地に入ってきてから一度も命の危機にあっていない。
ナイフも矢も銃弾も飛んでこないことに逆に違和感を感じてしまうあたしって苦労性だ。
「それはそうよ、ここをどこだと思ってるの?」
最高の防犯設備を整えてるに決まっているでしょう?と校長先生は自信満々に言う。
だったら別にAクラスじゃなくていいじゃん、と内心思ったけど、ここは校長先生の心遣いに素直に甘えておくことにする。
頷いたあたしを見て、先生は「話を続けるわね」と同じように頷いた。
「クラスバッヂを見てくれる?」
「え、これですか?」
ブレザーの左胸には神谷学園を表すワッペンがあり、その下で新品のAと書かれたバッヂ光り輝いている。
ちなみに、学年はリボンとネクタイの色で分けられるそうだ。
(そんなあたしの学年、2年生は濃紺チェック)
あたしが円形のバッヂを指でくるくるしながら首を傾げれば、校長先生は頬杖をついたまま、
「それね、純金製なのよ」
と言い放った。

