前略

お父さん、お母さん、お兄ちゃん、由美、タルト。

あたしが家を離れて一週間、みんなはいかがお過ごしでしょーか?

あたしは・・・

あたしは・・・っ



「む、むしろアンタ達に殺されそうだよ・・・っ!!」



どんなに強がっても【相変わらず元気に過ごしております】なんて言えやしない。

がっくり、と座り込みそうな震える膝と格闘しつつ肩を落としたあたしを見て、



「そう言っていられる間は大丈夫ですよ」



と隣の沙希はいつも通りのわざとらしい笑顔を浮かべた。

そして、後ろからあたしの肩を痛いぐらいの力で掴むと、あたしが「いたい!」と抗議の声を上げる間もなく背筋をまっすぐに正された。

あーはいはい、知ってますよー。あたしは猫背なんですよねー。



「今日から学校なんですから、しっかりなさってください」


神谷家に来てから一週間が経ちました。

けれど、この一週間はあたしにとって一カ月くらいに感じられた。

っていうのも、沙希の手によって勉強から食事マナー、言葉づかいに立ち振る舞い、あいさつの仕方とかとかとかとか!

寝る間も惜しんで“お嬢様”はなんたるかを身体に叩きこまれたからだ。