「───そのにぎやかなやり取りともしばらくお別れね、鈴」
「うん、由美の突っ込みともお別れ」
「新しい突っ込み役見つけなさいよ、アンタ本当にボケてるんだから」
「りょーかい」
そう言って敬礼ポーズをとれば、由美も「行ってらっしゃい」と敬礼の真似をしてくれた。
その次にあたしの側に来たのはお兄ちゃんで、でも、ただ無言でくしゃくしゃとあたしの頭を掻きまわすように撫でただけだった。
少しだけ目が潤んでいた気がするのは気のせいということにしといてあげようと思う。
「生きて返って来なさいよ」
「ちょっと、その冗談笑えないって」
お母さんはひどい冗談を言ってのけた。
でもそれがお母さんらしくて、なんかリラックスしてしまう。
いつもなんだかんだあたしを励ましてくれたのはお母さんで、そしていつも最後まであたしの味方をしてくれたのもお母さんだから、しばらく離れて暮らすのに不安がないわけじゃない。
「お母さん」
「ん?」
「あたし、お母さんいなくても大丈夫な強い子になって帰ってくるよ」
ガッツポーズをして見せれば、お母さんは顔を歪めてあたしをぎゅっと抱きしめた。
「バカね、帰って来たときくらいいつだってお母さんに甘えなさい」
「はーい」

