「ぎゃっ!」パアンッ!
前に重心を掛けようとした身体とは対照的な、物理的な後ろ向きの引力。
それにあたしが女の子らしかぬ荒げた声を上げたのと、聞き慣れてしまった銃声が響いたのは同時だった。
───そして、あたしの顔すれすれを風が横切ったのも、同時だった。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
その場を支配するのは沈黙。
もう耳馴染みがありすぎて確認するまでもなかったけど、ぎこちなく視線をずらしてみれば、
あたしの右側の塀にある真城家の表札に、何やら黒い塊が埋め込まれていた。
それが銃弾だということなんて、嫌なほどすぐに判別がついてしまう。
うん、本当に見慣れてるもんだ。
見慣れたくなかったけど。
そして、撃たれた方向に閃光弾を投げ込む沙希の行動も怖いくらいいつも通りだ。
(お願いだから近所の人には迷惑かけないでね、と激しい光を見ながらあきらめ半分に祈った)

