「“いーよ”しか書いて無いじゃん!これ快くって言うの!?
大体あたしは承諾はしたけど快諾はしてないし!
明日一日で済むほど友達少なくないし!」
バンバンと自分の膝を叩きながら言いたいことをすべて叫ぶように訴える。
ホントになんて理不尽なの!ありえない!
ぎゃぁぎゃぁと騒ぐように文句を言うのはいつも通り───けれど、ふ、と口をつぐむ。
沙希が、何も言ってこない。
「さ、沙希・・・?ごめんね、あたし言い過ぎた・・・?」
こんなやり取りは今まで最低1日3回はやってきたけど、沙希が黙るなんて初めてのこと。
しかも、彼が俯いているせいで顔が髪に隠れて良く見えなくて、思わずたじろぐあたし。
「・・・ね」
「え?」
沙希が何かを呟いた。
それが聞きとれなくて、耳を差し出すように聞き返した次の瞬間、あたしの視界はぐるりと回った。
何が起きたか飲みこめなくて目を白黒させて固まってるあたしの視界には、
いつも通りにっこり笑う沙希の顔と真っ白な見慣れた天井。

