何そのお菓子みたいな名前。
訝しげに眉を寄せるあたしに気付かないのか気付かないフリしてんのか、
沙紀は「アポロンって言うのは」と言葉を続けた。
ううん、続けようとした。
バアン!!
平和な町にまた響く物騒な音。
さっき出来たばかりの弾痕の隣に、また1つ新たな弾痕が。
(もはや桜が可哀想、とか冷静な自分の頭にびっくりする)
「ひとまず逃げるか」
「!!?」
沙紀は独り言のように呟くと、軽々あたしをお姫様だっこで持ち上げる。
「ちょ、ちょっと!?」と驚いて声を上げると
「死にたくなかったらおとなしくしてろ」と久しぶりの俺様モード。
そうは言ったってあたしまったく状況理解してないんですけどー!!
あっという間に走り出してしまった沙紀の首にしがみついてみると、
後ろから走って追いかけてくる黒ずくめのスーツにサングラスの男の人達が数人見えた。
(・・・リアルに逃走中ですがなにか)

