Sの法則-平凡姫と俺様SP-




返事をしないでボロボロ泣き続けるあたしに、「泣き虫」と沙紀が笑う。

でも、こんなに嬉しい涙が流せるなら、

あたしは泣き虫でもなんでもいいと思った。



「返事は?」



と沙紀に聞かれても声が出なくて、ただただ首を大きく縦に振る。

何度も、

何度も、

縦に振った。



「・・・っ、一緒に、いたい・・・っ」



やっと絞り出せたセリフに沙紀はやっぱり優しく微笑んで、

それからその指輪をあたしの左手の薬指に嵌めてくれた。

女の子が憧れるそのシーンを、

愛する人と、

こんなに早く実現することが出来るなんて。

あたしは世界で一番の幸せ者かもしれない、と本気で思った。



「沙紀・・・っ」



大好きだよ、と続けて抱きつく。





───いや、抱きつこうとした。