「あたし卒業しちゃったよー」
どこにいるかも分からない、大好きな人。
その人に告げるように、あたしはぼそりと呟いた。
あのとき沙紀がスパルタに勉強を教えてくれたおかげで、
大学だって第一志望校に入れたのに。
───他にも伝えたいこと、いっぱいあるよ。
龍世君とマナが付き合い出したよ、とか。
ののかちゃんは一人でカップラーメン入れられるようになったよ、とか。
うちに犬がもう一匹増えたんだよ、とか。
「迎えが遅いぞバカヤロー!」
待ってるって言ったって、あたしだって普通の女の子だ。
プレゼントもなにもない、
ただ沙紀への想いだけで毎日を過ごすには辛くなることだってある。
せめて居場所くらい伝えろ。
そう思って、誰もいないことをいいことに空に向かって叫んでみた。

