「神谷学園は、名前の通り神谷財閥が運営する学校です。
選び抜かれた精鋭の家柄でお育ちになった、未来の日本を担う二世三世の方々が通われています。
世界に通用する紳士淑女を育てる学校と言っても過言ではないでしょう」
「え?あたしにそこに通えと?」
「はい。つきましては“神谷”の名の元登校することになりますから、学園の中でも“最上級”の家柄の方となるわけです、鈴様は」
「はい無理ー。絶対無理ー」
自分で言うのもあれだけど、紳士淑女って間違いなくあたしから一番遠い言葉だと思う。
そう付け足したら、「紳士は男性ですから遠くて当たり前ですよ」と言われた。
いやいや、そこじゃなくて。という意味を込めて手を目の前でブンブンと振った。
「じゃぁ逆に聞くけどさ。あたしその学校行ってやってけると思う?」
「・・・まぁ、難しいでしょうね」
「 だ よ ね 」
なら、なんで!!
いや、お嬢校ならSPがいたって自然ってことなのかもしれないけどさ!!
まさか否定を期待していたわけではないにしてもあまりに正直な言葉に、怒りを通り越し過ぎて沙希に負けじと笑顔を貼り付けてしまった。

