Sの法則-平凡姫と俺様SP-




「・・・」



あたしの問いに、沙紀は答えようと少し口を開いて、閉じた。

きっと分かったんだと思う。

本当は自分の中で答えを見付けてること。

そしてあたしも同じ答えで、そして受け入れようとしてること。

彼は顔を歪めると、小さくもう一度「ごめん」と呟いてあたしを抱きしめた。



「・・・俺、何も言わないから」

「うん・・・あたしも、言わない」



待ってろ、とか。待ってる、とか。そんな言葉じゃなくて。

ただ相手の想いを、心のつながりを、信じてる。



沙紀と目が合って、あたしはちょっとだけ微笑んだ。

大好き、と、声にはしなかったけど小さく口を動かした。

沙紀の口も動いた。

その言葉は耳には届かなかった。

それでも、受け入れるように瞳を閉じた。

沙紀のすべてを焼き付けるように、ゆっくりと。

初めて触れた唇は少しだけ震えていたけれど、涙の味なんてドラマチックなことはなかった。

ただ、とても、愛しいと思った。



『愛してる』



音にしなくたって、沙紀の想いは痛いほど胸に届いたんだ。



───沙紀、あたし信じてるよ。

あなたとの未来を。