「───・・・こんなことになるなんて、思わなかったんだ」
沙紀が小さく呟いたのは、それから少し経ってからだった。
消え入りそうな声のままだけど、
沙紀はあたしを抱きしめたまま肩に顔を埋めてたから声が聞こえたんだと思う。
その言葉は、龍世君が病室に来る前と同じものだった。
「・・・こんな、こと?」
問い返すと、沙紀はゆっくりと顔を上げた。
首元にあったぬくもりが離れて、
冷たい病室の空気があたしを少しだけ冷やした。
また目を合わせてくれた沙紀の顔はやっぱり悲壮感に満ちて見えて、
その消えてしまいそうな雰囲気に胸が掻き乱された。
「───皮肉だよな・・・」
「・・・」
「こうして鈴と離れなきゃいけない事態になって、
やっと自分のしたことを後悔してる」
「っ・・・でも!!」
後悔、なんて言わないで欲しかった。
沙紀のしてしまったことは間違いなく“犯罪”だし、ちゃんと更正しなきゃいけないこと。
でも、それでも、勝手かもしれないけど───

