「でも、鈴は気付いてくれただろ?」
「え?」
「俺とは分からなくても、“思い出の絵”と“コンクールの絵”が同じ人の絵だって」
「でもそれは確信持ててなかったし、それにそんなつもりまったく・・・!」
そんなに言ってもらえるほどのことではないのに。
そう思ってるあたしの言葉を遮って、
沙紀は「それでも嬉しかったんだ」とあたしをさらにぎゅうと抱きしめた。
「神谷の名前とか、SPとか、そんなの全然関係なく、
鈴は最初からいつだって俺を“俺”として見てくれた。
それが、どんなに、嬉しかったか─・・・」
最後は消え入りそうな声だったのに、
あたしを抱きしめる腕の力はちっとも弱まらない。
力強いその腕は、あたしを離さないとまるで意思があるようなのに、
どこか包み込むように優しかった。
『ありがとう』と言った、少し前の沙紀の優しい顔を思い出して、
あたしもその胸に頭を預ける。

